『うまれたよ!アブラムシ』(岩崎書店)に登場するアブラムシは、
前回(〜その1〜)で書いたように、ソラマメヒゲナガアブラムシ。
・カラスノエンドウに群れるこのアブラムシに、アリは随伴しない。
そのことに初めて気づいたのは本格的に撮影を始めた6年前(2020年春)のことだった。
アブラムシと言えばアリとの「共生」。「アリマキ」という別称があるくらいだから、アブラムシの絵本を作るなら「共生」について触れる必要がある、と当然のごとく考えていた。

ところが、ソラマメヒゲナガアブラムシの撮影を始めてみると、アリがまったく来ないのである。
コロニーの中を徘徊することはあっても、アリは脚を止めず行き過ぎるだけ。アリのお目当ては、コロニーのすぐ傍にもある「花外蜜腺」。アリにとって、この蜜線から授かる糧はよほど魅力的なようだ。
アブラムシのお尻から甘露を受け取るアリ、という絵柄を撮影どころか、観察すらできないことにショックを受けた。

ソラマメヒゲナガアブラムシのお尻から排出される甘露、その甘露そのものはアリの餌になる。
葉っぱなどに付着した甘露を、アリが吸っていることがあるからで、アリがアブラムシのお尻から甘露を受け取らない、その理由には、甘露の成分は関与していないことがわかる。
ソラマメヒゲナガアブラムシにアリが随伴しない理由は、そもそも、アブラムシ側にとって、アリという守衛役を必要としていないのであって、アリとの親密な関係が成立していないからであろう。
さらに文献を調べてわかったことだが、ソラマメヒゲナガアブラムシ以外でも、アリが随伴しない、つまり共生しない、というアブラムシの種類は多いことがわかった。むしろアブラムシ全体から見れば、アリとの共生が成立している種は、わずかに2〜3割とも言われている。
しかし、「共生」という人間から見るといかにも興味をそそられる生態が注目されるのは当然のことで、「アブラムシ」で検索すると「アリとの共生」についての記事が次々と出てくる。逆に、「共生」しない、という項目での記事はごく稀に過ぎない。アリとの共生をしないアブラムシには、共生で受けるメリットよりか、寄主植物との複雑な関係のなか、もっと別の様々な事情を抱えているということが、少しづつ解明されているようだ。例えばソラマメヒゲナガアブラムシとカラスノエンドウの関係についても、詳しい研究がなされている。
とても身近なアブラムシと言えるソラマメヒゲナガアブラムシに「アリが随伴しない」という事実を知って、このことを写真絵本には是非盛り込みたい、と思った。もちろん当初は、「アリと共生をするアブラムシ」に種を替えるべきか、と迷ったりした。ページ構成を組む上でも「共生」のお話を盛り込むことは見せどころにもなるからだが、それではアブラムシという多様な生きものの実態から目が逸れて偏った見方になってしまうのでは?まったく逆の視点も必要だ、と思い直したのであった。



































