午前6時17分
OM-1 M.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro
夜露を纏った
アオモンイトトンボ♂。
朝早くから庭の草地にしゃがみ込むのは今日で三日目になるけれど、お目当ては
キンエノコロで羽化する
タマバエの一種の観察。
この虫の正体はまだ突き止めていないが、キンエノコロの果実内で幼虫が育ち、そこで蛹となることが二日間の観察でわかった。
OM-1 M.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro FlashQ G20U
羽化したあとしばらくは、キンエノコロの穂(花序)に留まっている。写真上はメスでお尻に産卵管の一部が見えている。
OM-1 M.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro FlashQ G20U
複数個体の羽化が集中した穂。多いときには7〜8頭が群れていることもある。
雌雄が混じっているがこの段階で配偶行動はまったく見られない。
果実上部に残った白っぽい羽化殻(蛹殻)がいくつも見えている。
OM-1 M.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro FlashQ G20U
タマバエ幼虫が育った果実は白っぽく変色しているので、外見ですぐにわかる。
株によっては穂のかなりの割合が変色している。すべてがこのタマバエのしわざかどうかは断言できないけれど、
羽化したあと蛹殻が残っているものは間違いないだろう。
ただし、蛹殻はお尻のごく一部で止まっているだけで風や振動で容易に脱落してしまう。
OM-1 M.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro FlashQ G20U
最初にも書いた通り、羽化は早いものは午前6時ごろから始まり遅いものでも6時40分頃までには終了する。
羽化後しばらく静止したのち午前中にはすべて飛び去ってしまう。あちこち探してみるが、どこでどういう営みをしているのか、小さいこともあってなかなか見つからない。それでもおそらく、このタマバエの寿命はかなり短いと見ていいだろう。
こういう羽化シーンの撮影では長い待機時間というものがつきものだ。
まだかまだかと待ち侘び、しかも一瞬のチャンスを逃してはならぬとばかり気合いも入るので、無事に撮影を終える頃には神経も筋肉もすり減ってヘトヘトになることすらある。
ところが、このタマバエsp.の羽化時間帯はかなりきっちりと定まっているので、時計を見てから庭に出て穂を覗き込めばすぐにも目の前で羽化が始まるという具合で、忍耐も苦労も一切要らない撮影ができた。
ただし、キンエノコロの穂の高さは地面から低い位置にあり、しゃがみ込む姿勢を一定時間保持しているうちに筋肉痛は避けられない。シートなどを敷いて寝そべり低い三脚を使うなど、少しでも楽になる体勢を整えるといいのだろうけど、なにせOMシステムのカメラ機材は軽量小型。撮影体勢をどうのこうのと考える前にサッと手持ち撮影に臨んでしまえるのだ。
体を労わることも思えば、手軽さだけに頼ることなく体に優しい体勢、準備を怠らないほうがいいとも言えるが。
OM-1 M.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro FlashQ G20U
雌雄の区別は外見から容易で、上写真の上がオス、下がメス。
オスの尾端には上向の小さな突起が見られること、メスに比べて触角が短い、などの特徴がある。
いっぽう、メスの触角はオスよりわずかに長い。普段、縮めている産卵管は羽化直後には長く伸ばしており、これを見れば見誤ることはない。
手元にある文献を調べてみたけれど、キンエノコロに虫こぶを作るタマバエについての情報は一切見当たらなかった。
イネ科の植物にゴール(虫こぶ)を形成するタマバエ類の生態記述を参考にして、このキンエノコロに宿るタマバエの行動についていくつかの仮説を立てて観察を始めたばかり。
次回(明日以降)は、オスの行動や果実内の蛹、寄主植物の種類などについて観察できたことを紹介したいと思う。
キンエノコログサの穂から次々と羽化してくるこのオレンジ色のタマバエを観ていると、
ノブドウの虫こぶに穴を穿ち羽化する
ノブドウミタマバエや、ヨモギの葉にできるヨモギハエボシフシの
ヨモギエボシタマバエなどの姿が懐かしく重なって見える。
ノブドウミタマバエ
ヨモギエボシタマバエ
posted by やまかます at 18:31|
アブ・ハエ