高速の栗野ICを降りてから出水市に入るルートはいくつかあって、今朝はこれまでとは違うルートを選んでみた。
その判断は正しかったようで、ルートの途中でシナアブラギリが多数植っている谷間を見つけることができた。
カラスザンショウの白い花が濃高フ林を背景によく目立つ。

カラスザンショウを過ぎて間も無く、シナアブラギリ(オオアブラギリ)が植っている場所に辿り着いた。
道路に沿った谷間に植っていて、樹冠を上から眺めたり、根本まで寄れるものまでその数はかなり多い。


果実は小さな玉葱ほどの大きさがあり、遠目からは青柿に見えるほどたわわに実っている木もあった。
これならオオキンカメムシがどれかの木で繁殖しているかもしれない、丁寧に一本すづ見て回った。
宮崎県のアブラギリでは、例年この時期(8月末〜9月初め)だと終齢〜成虫が見られる。つまり羽化ピーク最盛期と言えるのだが、ここのシナアブラギリではメス成虫が3頭見つかっただけだった。いづれも果実で吸汁していた。


今夏、羽化した新成虫だろうか?2頭捕獲してみたが、後ろ翅先端にわずかな破れがある。
見つかった成虫の数が少な過ぎることも気に掛かる。
シナアブラギリでは終齢まで育ったという記録もあるようだが、幼虫が羽化まで成長できるのか、確実な観察例を私は知らない。過去の文献では「シナアブラギリでは幼虫は育たない」と断言しているものもあるのだが、本当にそうなのか知りたいと思っている。
付記:捕獲した2メスのうち1メスはほどなく死んでしまった。体紋様の汚れ方や右触角の欠損、うしろ翅の破れ具合、などから、このメスは作年の夏産まれと思われる。つまり産卵を終えて寿命が尽きたものだろう。

シナアブラギリ林の天井。
中国原産のシナアブラギリは油を採るために栽培されてきたものだが、やがて放置され野生化したようだ。
シナアブラギリは道路沿いに帯状に生えているので、車を停めるスペースを見つけてはオオキンカメムシ探しをしていたが、そのうち左足首に違和感を覚えた。
ススキの葉で切ったかのような痛みだったので、ズボンの裾をめくってみると、真っ黒になったヤマビルが食らいついていた。飽血してまん丸だ。
すぐに取り除いたが出血しておりズボンの裾が赤く染まっていたので、消毒してからカットバンを貼って止血しておいた。
ヤマビルが多い地域のようで、足元の備えに無頓着だったことを反省。マダニも当然多いことだろう。