大葉を広げている、ウバユリ。
ツヤツヤの大葉は、色々と人の役に立っていたのだろう。いや、今でもかな?
仕事部屋のすぐ外で、ガソゴソ、ゴソガソ、と何やら気になる音。
「うん?カラスかな。スズメたちも騒いでいるし」
そっと裏扉を開くと、目の前の地面に、アナグマの子供がいた。
去年の4月にもアナグマが庭で騒いでいたけど。
「あれ?逃げない」
しきりとドングリを齧り割っては、中身を器用に食べ続ける。
ドングリはイチイガシで、私がシギゾウムシ類のしわざを調べ終わった後に、庭に捨てていたもの。
そのドングリが、アナグマを夢中にさせていたとは、意外だった。
ドングリの食べあとを拾い集めてみた。
この後、私が草刈りをした地面を辿りながら、ときおり穴を穿っては何やら獲物を平らげていた。
草を払った地面は獲物探しに都合がいいようだ。
なかなか図太いようでも、こちらが近づくと警戒し、倉庫の下の隙間に逃げ込む。
そこが避難所になっているようだ。
いったん隠れても、そっと顔を出して外の様子を窺う。
その仕草が、先々月、死んでしまったチョロの姿に重なるような気がした。