午前7時38分

梅雨の合間の晴れ間。気温は30℃を超えたがカラッとして過ごしやすかった。


キマダラセセリが鳥の糞へ口吻を伸ばし、時々、腹端を前方に強く曲げては水滴を垂らし、そしてまた吸う、いわゆる「吸い戻し」を行なっていた。さしずめ乾燥した糞は粉ジュースのよう。
そういえば、昔、10円だか?で買えた粉ジュースは、コップと水がないと飲みようがなく、店先でヤケになってそのまま口に放り込むと、酸っぱくて酸っぱくて、とても飲めたものではなかった。仕方無く、半分ほどを無理やり口に流し込み、半分になったビニール包のなかに公園の蛇口から水を入れ、薄っかたり、濃かったリしながら、ジュースを飲んだ。
それでも、ジュースの飲み方はいろいろ楽しめたと思う。そのささやかな楽しみをすっかり奪い去ってしまったのが、缶やペットボトルだろう。

産卵は夕方に行われることがほとんどなので、午前中のこの時間帯にはまずあり得ない。
それでも食草にピタリと止まりこの姿勢となると、思わず期待してしまう、サトキマダラヒカゲ。
一旦腹端を折り曲げ葉裏に産卵し始めると、結構時間が掛かる(中断しない限り)。
葉っぱの向きなどの不都合があって、過去に一度だけ撮影のチャンスがあったものの(2007年)、産んでいる最中の卵は画面に入らず悔しい思いをしたことがあり、いつかは再チャレンジしたいものだ。
ところで、、、、
サトキマダラヒカゲの産卵を初めて目撃したのは自分が高校生のときで、松山の実家のすぐ傍だった。
産卵中の母蝶は私が間近に近寄っても動じることがなく、卵が綺麗に並んでいく様子をたっぷり観察できた。
そしてその時、その時こそ、カメラがあれば!写真に撮りたい!と強烈に願ったことが懐かしい。
この記憶は大人になってからだいぶ長いこと途切れていたが、2010年刊行の『ぼくは昆虫カメラマン』(岩崎書店)には書き留めてある。