2019年09月05日

たまごの中のかお

先日、見つけたサトキマダラヒカゲの卵に顔模様が浮かんできた。

サトキマダラ卵-7409.jpg


顔の向きはバラバラだが、多くは天空を仰いでいる(草裏面を地面に例えるなら。実際は下向き)
横向きもいるが、卵の底へ俯く者はいない。

しかし、やはり、16兄弟!さすがに、にぎやか。にぎやかすぎるかも。

拙著『むしのかお』(ポプラ社;2010)の裏表紙には6コ並びの顔が載せてあるが、
上写真よりも、産卵してからもう少し日にちが経っている。

洗濯物と一緒に部屋に運ばれて来たのだろう。
マツムシモドキがカーテンから窓へ、窓から壁へと、忙しく落ち着きがない。

そっと手を差し出すと、私の手に這い登って来た。
よほど気に入ったのか、カーテンにも窓にも戻ろうとしない。
そこで庭に出て草の上に誘導してみた。
朝露をたっぷり纏っていたのが良かったのだろう。
さっそく、吸水に余念がない。

マツムシモドキ-1128.jpg


マツムシモドキは時々、林で見かけるけれど、いつもじっとしている。
表情が見たいな、と思っていたら、美味しそうに滴を飲んでくれた。

午後からまるで計ったように、にわか雨。ちゃんと天気情報でも言ってた通り。
かと思えばあっと言う間に雲が切れて、青空、蒸し暑くなる。

久しぶりにが出た。


にじ-0006.jpg


サトキマダラヒカゲの学名の綴りを確認しようと、たまたま開いた図鑑が
保育社の標準原色図鑑全集1『蝶・蛾』(1966) 白水隆、黒子浩、共著
1970年当時、私は中学1年生で、誕生日祝いにこの図鑑を母親から買ってもらった。
値段は1200円。
本書ではサトとヤマの2種に分かれる前で、和名はキマダラヒカゲで載っている。

さて、サトキマダラヒカゲの学名は、
Neope goschkevitschii

種名のゴシュケビッチはロシア人名で、いかにも、と言う名前だが、

1855年の春、そのゴシュケビッチさんが、伊豆半島の下田近辺で本種を採集した標本がタイプ標本だそうだ。
その前年の12月23、24日に安政の大地震が発生し、乗って来た船のDiana号が大破。そのためしばらくはロシアに帰国できず、1855年7月まで下田に滞在していたと言う。
(高橋昭;「日本産キマダラヒカゲ属Neope 2種の学名と原産地」 蝶と蛾 28(4), 133-142, 1977日本鱗翅学会)港に接岸していたのか沖に停泊していたのかはわからないが、それが大破するほど、地震の規模が大きかったのだろう。
江戸では大変多くの犠牲者が出たそうだ。


posted by やまかます at 19:50| Comment(0) | チョウ